アメリカの母体死亡率は発展途上国よりも高くないよ。誤訳してるよ。

深刻な和訳ミスを発見したので。

akihitosuzuki.hatenadiary.jp

 

 

このブログによると、

母体死亡率というのは、妊娠と出産のときに妊婦・母親が合併症などで死亡する割合である。1930年代までは約100分の一、対10万の指標でいうと1,000程度の母体死亡率があった。それが20世紀の中期から激減し、現在ではイギリス、ドイツ、日本などは対10万で5程度である。

(中略)

この指標を1990年と比べてみると、イギリス、ドイツ、日本はいずれも10-20で、それが2013年に5に減少している。発展途上国全体をあわせても、1990年には25だったのが、2013年には12になっている。しかし、アメリカだけ、1990年に12だったのが、2013年には18.5 になり、50%以上も上昇し、発展途上国の平均よりはるかに悪い劣等国になっている。

ん、発展途上国の母体死亡率が25から12に減少って少なすぎじゃないですかね…。それでは、元ソースのエコノミストに当たってみましょう。

www.economist.com

 

この記事のデータによると、

こうあります。あれ、developed countries??

手前味噌ですがWikiで調べてみますと

A developed country, industrialized country, or "more economically developed country" (MEDC), is a sovereign state that has a highly developed economy and advanced technological infrastructure relative to other less industrialized nations.

Developed country - Wikipedia, the free encyclopedia

日本語で訳すと、「先進国」が正しそうですね。つまり、このエコノミストの記事の意図としては、アメリカの母体死亡率は上昇しており、先進国平均を上回っているということになります。

 

ただのミスとして片づけてしまうのはもったいないので、いくつかの示唆を。

 

➀ミスはたとえ学者であったとしてもある

この記事を書いているのは、Akihitosuzukiという医学史研究において有名な方です。慶應義塾大学の教授だったかと思います。(同姓同名の他人を偽ったブログの可能性もありますので、もし違ったらばごめんなさい)英語で論文を書くような方ですが、ミスは起きてしまう。こういう時に安易に記事を拡散しないことは大事ですね。デマを拡散してしまうことになりますから。この元記事も1000弱の拡散がなされています。おそらく何も考えずに拡散しているのでしょう。それはよろしくない。しっかりと一次情報にアクセスする必要はあります。(といっても本エントリーではエコノミストという2次情報にしかアクセスしていませんが)

 

➁アメリカの母体死亡率は大変なことになっているのは事実

発展途上国ほどではないにせよ、アメリカの母体死亡率が上昇していることは看過できません。どう考えても大変な状況です。suzukiさんが指摘されているように、アフリカ系アメリカ人が貧困であるからだとか、医療制度の問題なのかもしれません。アメリカ政府はこの問題について真摯に受け止める必要はあると思います。ちなみに私は、この問題の主要因は、アメリカの保険制度に問題があるのではないかとにらんでいます。そのうち記事にしてみたいですね。