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映画1:『ガチンコ!逆襲のロボとーちゃん』は家族で見るべき。全米も多分泣く。

映画

 クレヨンしんちゃんの映画は昔から好きで、小さい頃から観ていました。初めて見たのは、『映画クレヨンしんちゃん アクション仮面VSハイグレ魔王』。チョコビで当てたカードを使って入場した「アクション仮面アトラクションハウス」で乗り物に乗って異次元の世界へと一家全員で行ってしまう。そこでハイグレ魔王というおかまのおねいさんに、ハイグレにされてしまっていてそれと戦うストーリーです。

 荒唐無稽な話ですが、幼心にはセンセーショナルでかつ軽快なギャグで面白かった記憶があります。そんなナンセンスギャグの系譜を引く「クレしんシリーズ」ですが、本作はそういう要素を持ちつつ、「嵐を呼ぶ アッパレ!戦国大合戦」や「嵐を呼ぶ モーレツオトナ帝国の逆襲」の要素を持ちこんだ素晴らしい作品に仕上がっていました。

―――目次―――

  1. 逆襲のロボとーちゃんの概略
  2. 家族ということ
  3. ロボットという恐怖ー現代への警告ー

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1.逆襲のロボとーちゃんの概略

 ネタバレをしない範囲でロボとーちゃんの概略を説明します。プライムビデオの説明によると

ある日、ギックリ腰を治しにマッサージに行ったとーちゃん。 そしたら…なんと、ロボットになって帰ってきた!? ロボットになったひろしに戸惑うみさえと大喜びのしんのすけ。 美味しい料理を作ったり、家をピカピカにしたり、リモコン操作もできる“ロボとーちゃん”は、ちょー便利。 しかしそれは、家庭での立場がすっかり弱くなってしまった日本の父親たちの復権をもくろむ、 父ゆれ同盟(父よ、勇気で立ち上がれ同盟)による巨大な陰謀だったのだ! 正気を失った父親たちによる“父親革命”が勃発し、野原家も春日部も崩壊寸前!! その時、“ロボとーちゃん”がしんのすけと一緒に立ち上がる!! はたして、野原一家の、そしてロボひろしの運命は!? 今、日本中の家族の愛が試される!

Amazon.co.jp: 映画クレヨンしんちゃん ガチンコ!逆襲のロボとーちゃん: ---: generic

 だいたいこの解説に集約されています。劇中では父ゆれ同盟ではなく”ちちゆれ”同盟でした。そしてまた、”ロボとーちゃん”はちょー便利という側面だけではないです。便利という言葉で片づけられない要素が多々ありました。

ちなみにWIKIの説明によると

ギックリ腰で腰を痛めたひろしは突如現れた謎の美女に連れられ、マッサージも兼ねてエステの「無料体験」を受けることに。
エステを終えて家に着いたひろしだったが、そこで自分の体がロボットになっていることに気づき、ビックリ! ロボットになった自分を前に警戒心むき出しのみさえに対し大喜びのしんのすけ
そんな中ひろしは、自分の体がロボットになった原因があのエステサロンであったことに気づく。それは、邪険に扱われる日本の弱い父親達の復権を企てる『父ゆれ同盟』の恐るべき陰謀だった。
「家族は、オレが守る!!」
崩壊寸前のカスカベを前にロボットになったひろし=ロボとーちゃんが、しんのすけと共に立ち上がる。

クレヨンしんちゃん ガチンコ!逆襲のロボとーちゃん - Wikipedia

 こちらはしんのすけ目線ではなく、フラットな視点で描かれています。大筋はこの二つの引用を読めばつかめると思います。ここだけ見るといつもの「クレしん」シリーズの映画23作品の中でも荒唐無稽寄りな雰囲気を醸し出していますが、それだけではないのです。

2 家族ということ

 クレしんは作品の特徴として家族愛を押し出す傾向にあります。例えば先述しました「嵐を呼ぶ モーレツオトナ帝国の逆襲」は顕著な例でしょう。大まかなストーリーは以下の通りです。

かつて大人たちが体験した昔懐かしい暮らしが再現された「20世紀博」というテーマパークが日本各地で開催されていた。毎日付き合わされ、いい加減辟易しているしんのすけら子どもたちを尻目に、ひろしやみさえら大人たちは、懐かしさに浸って20世紀博を満喫する。街中でも旧車やレコード、白黒テレビといった昔懐かしいものが売れるようになり、帰宅しても大人たちは昔の懐かしい特撮番組やアニメ番組のビデオに取り憑かれたかのように夢中になる。ある晩、テレビで『20世紀博』から「明日、お迎えにあがります」という放送があり、これを見た大人たちは突然人が変わったようになり、すぐさま眠りについてしまった。
翌朝、町中の大人たちに異変が起こっていた。大人たちは家事や仕事も忘れて遊びほうけ、まるで子どものようになってしまっていた。しんのすけはいつまでも幼稚園バスが迎えに来ないため自力で幼稚園に行くが、よしなが先生を初めとする幼稚園の先生たちも同様に子どものように缶蹴りをして遊んでいた。そしてしばらくすると、街中に沢山のオート三輪(ダイハツ・ミゼット、ダイハツ・CO型)が「証城寺の狸囃子」の曲を流しながら現れ、それを見聞きしたひろしやみさえを含む大人たちは皆それに乗り込み、子どもたちを置き去りにしてどこかへ走り去ってしまう。これはケンをリーダーとする秘密結社「イエスタデイ・ワンスモア」による、大人を子どもに戻して「古き良き昭和」を再現し、未来を放棄するという、恐るべき計画の始まりだった。
しんのすけ、かざまくん、ネネちゃん、マサオくん、ボーちゃんら子どもたちが大人たちに置き去りにされてしまったその日の夜、子どもたちに投降を促すケンのメッセージがラジオから流れる。「20世紀博からの迎えの車に乗れば親に会わせてやるが、来なかった子供は反乱分子とみなし、翌朝8時に一斉に捕える」という。だが親に会わせるというのは嘘で、実際には子どもを隔離して「再教育」を施し、大人と同じように洗脳してしまおうとしていた。その計画を悟ったしんのすけたちはデパートに身を隠して夜を明かすことになったが、しんのすけが目覚しを8時に設定してしまったために逃げる時間をなくしてしまい、子どもたちを捕まえに来たイエスタデイ・ワンスモアの隊員や洗脳されたひろしたちに見つかり追われる事になってしまう。しかし逃げ場をなくし、駐車場でふたば幼稚園の園バスを見つけたしんのすけたちは一旦そこに隠れる。そこで大人たちに見つかる前にバスを運転してデパートを脱出する。追手とカーチェイスを展開しているうちに、しんのすけたちはこのままだとバスが20世紀博の会場にたどり着いてしまうことに気付く。しかし、しんのすけたちは各々の両親に会おうと20世紀博に乗り込む。
果たしてしんのすけたちは、両親を救い、自分たちの未来を守ることが出来るのだろうか。

クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲 - Wikipedia

 このように、家族愛を全面に押し出す映画作品の系譜として「ガチンコ!逆襲のロボとーちゃん」は据えることが出来るでしょう。そんな本作品ですが、どう家族というものを取り扱ったのでしょうか。

一、父が虐げられているという背景

 本作品のテーゼとして流れているのは伝統的な家父長制の崩壊と亭主関白です。旧来の日本社会において、夫はお金を稼ぎ、一家の大黒柱として君臨していました。その構造が破壊されたことを憂いた敵役があの手この手で亭主関白を復活をたくらむのです。ここで見てほしいのは、虐げられている父というリアルな世相です。仕事をしないと家族を養うことができないから、仕事をし、家族と過ごす時間が奪われる。家族と一緒に過ごす時間がないから、家族にとって、父の価値はどんどん下がっていく。父の価値が下がった結果、尊敬の念は失われ、「お父さんと一緒に洗濯したくない!」と言われるわけです。こんなやるせない父の背景が、この映画を貫いているのです。

二、お父さんがロボットに代わるということ

 本作品では野原ひろしがロボットになってしまいます。すなわち、今まで接していたお父さんの姿ではない姿に変わってしまうわけです。声も変わり、体も変わってしまう。そのとき、家族はどのように接するのでしょうか。きっと戸惑うことでしょう。本作品でもみさえは戸惑っていました。ひろしということを信じることが出来ず、家に入れることすらままならなかったのです。しんのすけにとっても、お父さんというより、それは夢見たロボットだったのです。この状況でも、ひろしはめげなかったのです。そしてその思いが家族に通じて、絆が深まっていくのです。

三、触れ合い

 本作品のスタッフの多くは家族を持っていたのでしょう。理想の家族像みたいなものが随所にちりばめられていました。ひとつ例をとるとするならば、腕相撲。本作品の核につながるものでもありますが、しんのすけとひろしが腕相撲をするシーンは父と子の触れ合いを感じるよいシーンでした。それだけではありません。ロボットになったひろしを自分の夫として認識するみさえの心情の変化もアニメ映画と思えないほどリアルにえがかれています。このように、家族を持つスタッフだからこそ描ける心温まる家族愛を演出していたのです。

3 ロボットという恐怖ー現代への警告ー

 家族愛、軽快なギャグですすむ本作品ですが、現代社会の、ひいてはSFについての含意も多く含まれています。一つはオートメーションに対する猜疑心でしょう。作中に登場したリバーサイドドデカシティは全てのマシンがオートメーション化された都市です。無機質ならではの恐怖がそこにはありました。

 さらにロボひろしも恐怖の対象でしょう。突然生身の人間がロボットになるわけですから。記憶のみが引き継がれ、肉体は鋼鉄の鎧に閉ざされる。精神の連続性という哲学的問いの始まりではないでしょうか。 

 現代社会では様々な領域において、オートメーション化が進んでいます。人間がやる領域は機械によって代替されていきます。そして彼らは、心を持ちません。そんな恐怖心に対するアンチテーゼも、この作品は有しているように思われます。

 

 最後になりましたが、不覚にもこの作品で涙してしまいました。ラストだけではありません。作中様々な箇所で感動する場面があったのです。作品の構成といい、涙あり、笑いあり、手に汗握る展開ありという三拍子そろったこの作品は第18回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門優秀賞作品たるものでしょう。

 

 

 

 

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