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2016年から中国でふたりっ子政策が導入―国家による家族のコントロールについて―

 あけましておめでとうございます。今年から中国は35年にもわたる一人っ子政策を廃止し、新たに”ふたりっ子政策”を導入しました。

 このように制度の変換点では様々なドラマが生まれます。本エントリーはこんなふたりっ子政策に迫っていきたいと思います。

1 ふたりっ子政策導入の流れ

 中国共産党は29日、1979年から続いてきた「一人っ子政策」を廃止し、すべての夫婦が2人の子供を産めるようにすることを決めた。経済の減速に対応するため、大きな政策転換が迫られていることを象徴する動きとなった。

 この日閉幕した中国共産党の重要会議、中央委員会第5回全体会議(5中全会)が、経済の中期計画「第13次5カ年計画」案を採択。会議後に発表されたコミュニケ(公表文)は、「1組の夫婦が2人の子どもを産む政策を全面的に実施し、人口高齢化への対策を進める」とした。

 一人っ子政策は人口の爆発を抑えるために始まった。人権の侵害が指摘され、戸籍外の子どもが増えるなどの問題も生んだ。

 12年には労働人口が初めて減少に向かったとされた。一人っ子政策が世界的にも例のない速度で少子高齢化を引き起こし、経済成長にも悪影響を及ぼすことが意識された。

中国、一人っ子政策を廃止 2人目容認、経済減速で転換:朝日新聞デジタル

 現在、中国では少子化と高齢化が進んでいます。 35年間も一人っ子政策を続けていたらそうなるのも当然でしょう。少子化と高齢化が進んでいくと、労働適齢期の人数が減っていき、経済成長が鈍化します。そういった世相を受けて、一人っ子政策を廃止したのが今回の流れです。

 

2 ふたりっ子政策の概要について

 ふたりっ子政策。簡単に言ってしまえば、1つの家族で2人の子供までしか持てないようにするという政策です。決して2人の子供を持たなくてはならないという政策ではありません。

 この政策は中国以外の国、ベトナム、インド、インドネシア等でも取られてきました。インドネシアを例にとりますとKB(Keluarga Berencana)の一環として行われています。家族計画の意味です。このKBには法的拘束力は存在しないのですが、子供は二人までが望ましいという努力義務になっています。実際に産婦人科等で避妊リングの提案等をされるようです。

 こういった努力義務の国に対して、中国は罰金制度を設けています。一人あたりにつきというように。冒頭にあげたツイートはまさにその一つの例です。

 

3 国家が家族計画に介入することについて

 インドやベトナムといった国は、あくまで民主的な側面に立って、「ふたりの夫婦にふたりの子供」を主張しています。一方で中国は罰金といった強権的な立ち振る舞いによって家族計画へと介入しています。ここに大きな、国としての差が存在しているでしょう。

3-1 共産主義国家ということ

 中国は資本主義化傾向を強めているものの、国政の面では共産主義一党独裁を崩していません。すなわち、国家が民衆の信任を得ることなく、機動的な制度設計を行うことができるということです。

3-2 国が家族の形態に介入していいのか

 国家は国民の総体としてとらえることが出来ます。国民が先に存在し、そのあとに国家が存在する。決して国家が先ではないのです。であるが故に、民主主義国家というものは民衆の信任無しでは政府が成り立つことはなく、また政策も民衆の声をできるだけ反映するようなシステムを持っています。しかし、中国は3-1で述べたようにそのような形態をとっていません。GoogleTwitterへのアクセスは遮断されていたりします。日本にいる私がこのような事を書くこと自体おこがましいものなのかもしれませんが、中国政府が一部を資本主義化することによって、制度全体の一貫性というものが綻びかかっているように思われます。その綻びはさらなら綻びを生み出し、中国国民に波及していくのではないのでしょうか。そうなれば、国家に対する信頼は低下し、中国が家族に対する介入をすることの正統性を失われるように思います。

3-3 中国はどうすべきなのか

 中国当局の恐れとしては、人口爆発による支配の崩壊でしょう。経済の鈍化、少子高齢化対策を真に解決したいのであれば、一人っ子政策を廃止すれば済むことなのですから。中国に横たわる社会問題を解決することと、中国全土を支配するための構造を維持するというジレンマを抱えて、このふたりっ子政策が出てきたように思います。

 そんな状況の中、どうすればよいのか。答えは明白であり、国民の事を真に考えるのならば政治的影響力を度外視して一人っ子政策を撤廃してしまえばいいのです。ふたりっ子政策も同様です。もちろんこの答えを言えるのは私が中国当局の人間でもなければ、日本にいるからなのですが。

 

 なんにせよ中国は日本にとって隣人です。その動向は注視する必要があるでしょう。

 

中国の「一人っ子政策」―現状と将来 (岩波ブックレット)

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家族に介入する社会―近代家族と国家の管理装置

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